• セントラル・リーグ
  • 読売ジャイアンツ
  • 阪神タイガース
  • 横浜DeNAベイスターズ
  • 広島東洋カープ
  • 東京ヤクルトスワローズ
  • 中日ドラゴンズ
  • パシフィック・リーグ
  • 福岡ソフトバンクホークス
  • 北海道日本ハムファイターズ
  • 千葉ロッテマリーンズ
  • 東北楽天ゴールデンイーグルス
  • オリックス・バファローズ
  • 埼玉西武ライオンズ
  • 侍ジャパン

日本野球機構オフィシャルサイト

ニュース

NPBニュース

【コラム】プロ野球新記録の18試合連続ホールド、オフの取り組みが飛躍につながった阪神・及川雅貴

 マウンドで仁王立ちした。9月28日の中日戦(甲子園)、2対1と阪神が1点リードで迎えた7回表、「及川雅貴」の名前がコールされた。チャンピオンチームが誇るリリーフ左腕は山本泰寛をツーシーム、森駿太をスライダーで空振り三振に仕留めると、最後は石伊雄太に対してカウント2-2から内角直球をズドン。捕手のミットがまったく動かない、見事にコントロールされたクロスファイヤーを投げ込み見逃し三振。これで2005年に現監督の藤川球児(阪神)、15年にバリオス(ソフトバンク)が記録した17試合連続を抜き、プロ野球新記録となる18試合連続ホールドを達成した。

「ゼロで帰ってこられたので、そこは良かったかなと思います。(捕手の坂本)誠志郎さんのおかげです。(新記録の)実感はありませんが、常に無失点で帰ることを続けたいです」

 同日時点でリーグトップの66試合に投げ、6勝3敗46ホールド、防御率0.87をマーク。大勢(巨人)に1ポイント差の52ホールドポイントと、最優秀中継ぎ投手賞のタイトルも視野に入る。

 2019年秋のドラフトで3位指名を受け、横浜高から入団。6年目を迎えた今季はマウンドで見違えるような姿を見せている。ゲラの離脱でリリーフが不安視されたが、開幕直後から及川が台頭。開幕2戦目の3月29日の広島戦(マツダスタジアム)で勝利を挙げると、4月17日のヤクルト戦(神宮)では延長10回からのイニングまたぎで2勝目。開幕から17試合連続で自責点0と素晴らしいピッチングでリリーフ陣に欠かせない存在となった。

 6月以降、疲労が抜けにくい時期があったが、そんなときに左腕を支えたのはオフの取り組みだった。走り幅跳びで世界選手権への出場経験もある荒川大輔氏に師事。体の動き方を根本的に見つめ直し、走り方から改善した。体の連動性を学んだことで好不調の波を減らすことができた。

「スプリントの練習をすれば、いいフォームで走らないと速く走れません。そのためには体のバランスを取ることも大事になってくる。また、速く走るには上半身と下半身の連動性も大事になってきます。太ももなどもしっかり上げないと、前へ行く推進力も働かない。僕の投球フォームは体の前側に意識を持って足を上げて投げていくほうがしっくりくるタイプなので。足を上げて前に進むスプリントの練習が投球フォームにもいい影響を与えるのではないか、という考えもありました。そういうのがうまくマッチしたと思います。自分が想像していた以上に野球にも取り入れられることや学ぶことが多くて、それが投球フォームに生かされていますし、トライしてよかったと思います」

 春季キャンプでは03、05年のリーグ優勝に貢献したウィリアムスからスライダーについて指導を受けた。左腕から変化球を繰り出す際に右肩が上がるクセを修正しながらフォームを固めた。「1年を通して戦力として投げ切りたい」と立てた目標を実現し、金字塔も打ち立てた及川。これから始まるポストシーズンでも与えられた出番で全力を尽くし、2年ぶり日本一への力となる。

【文責:週刊ベースボール】