ソフトバンクが3連勝で迎えた「SMBC日本シリーズ2020」第4戦(福岡PayPayドーム)。ソフトバンクが勝つと史上初の2年連続4連勝で日本一が決まる一戦は、今季8勝をマークしたチーム最年長の39歳左腕・和田毅が先発。崖っぷちに追い込まれた巨人は今季4勝を挙げた畠世周に託した。
重苦しい空気を打破するため、巨人は原辰徳監督が動いた。このシリーズ3試合は吉川尚輝、松原聖弥の一・二番コンビだったが、若林晃弘を一番で今シリーズ初スタメンに抜擢。二番に坂本勇人、三番に丸佳浩を据え、四番・岡本和真の後の五番に打撃の状態が良いウィーラーを置いた。下位打線も今シリーズ初スタメンのフレッシュな顔ぶれを並べた。七番は田中俊太、八番の捕手は岸田行倫。シリーズの過去3戦は大城卓三がスタメンマスクをかぶったが入れ替えた。九番は今季23盗塁と主に代走で活躍した足のスペシャリスト・増田大輝。打線の活性化へ大幅にメンバーと打順を入れ替えた。
この大胆なテコ入れが功を奏し、今シリーズ初の先制点を叩き出す。初回に先頭の若林が右中間への二塁打で出塁すると、坂本も左翼スタンド直撃の適時二塁打。立ち上がりの和田からわずか8球で先制点を奪う。だが、なお無死二塁の好機で丸が一邪飛、岡本が空振り三振、ウィーラーが四球で出塁の後、中島宏之は14球粘った末に空振り三振。和田は35球を費やして最少失点で切り抜けた。
巨人が主導権を握ったが、ソフトバンクは主砲の一振りですぐに試合をひっくり返す。その裏、二番・中村晃が右翼線二塁打で出塁すると、三番・柳田悠岐が畠の内角低めに入ったフォークをすくい上げてライトスタンドに逆転2ラン。「チャンスでしたし、初球から集中して打ちにいくことができました。先制されてすぐに逆転できて良かったです」と振り返る今シリーズ初アーチで球場の雰囲気をガラリと変えた。
2回裏は牧原大成が右前打で出塁し、甲斐拓也が148キロ直球を豪快に振り抜き、レフトポール際にこのシリーズ2号の2ランで突き放す。畠は2回持たず4失点で降板した。
ソフトバンクは和田が2回1失点で降板し、強力救援陣にスイッチする。3回表から登板した松本裕樹は150キロを超える直球、140キロ台の高速フォーク、110キロ台のカーブと縦の変化と緩急を使い坂本、丸、岡本を三者凡退に仕留める。2回2/3を無失点とロングリリーフで安定した投球を見せると、5回表二死一塁の場面で3番手・嘉弥真新也に継投。左腕は丸をスライダーで右飛ときっちり役割を果たした。
巨人も救援陣が必死に踏ん張る。2回途中から大江竜聖、戸郷翔征が無失点でしのぎ、6回裏はビエイラが自己最速の164キロ直球で牧原から空振り三振を奪うなど三者凡退。7回裏二死一塁では中川皓太が登板すると、一塁走者・周東佑京が二盗を仕掛けたが途中出場の捕手・大城が好送球で刺した。
だが、ソフトバンクの救援陣が流れを渡さない。6回表は高橋礼、7回表は岩嵜翔が三者凡退と安定した投球。8回表はモイネロが若林をスライダーで空振り三振、坂本はすべてチェンジアップで3球三振、丸は153キロ直球で二ゴロと圧巻の投球を見せる。9回表は守護神・森唯斗が一死一、二塁のピンチを迎えたが、いずれもカットボールで田中俊を見逃し三振、代打の亀井善行を二飛と無失点で締め、史上初の日本シリーズ2年連続4連勝で4年連続11度目の日本一を決めた。
新型コロナウイルスの影響で胴上げは行われなかったが、ナインは満面の笑みでグータッチを交わし、スタンドのファンと万歳三唱で喜びを分かち合った。工藤公康監督は「正直ホッとしています。それと同時にうれしくてうれしくて、地元福岡で日本一になることができて最高です」と感激の面持ちだった。
最高殊勲選手賞(MVP)はソフトバンクの栗原陵矢、優秀選手賞は同じくソフトバンクからムーア、中村晃、柳田、敢闘選手賞は巨人の戸郷が選ばれた。
2020年11月25日(水)
福岡PayPayドーム ◇開始 18:34 (3時間22分) ◇入場者 19,679人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
読売 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 |
福岡ソフトバンク | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 4 | 5 | 0 |