ソフトバンクが2連勝し、本拠地・福岡PayPayドームに場所を移して開催された「SMBC日本シリーズ2020」の第3戦。日本シリーズ初白星をつかみたい巨人の先発は来日1年目の今季8勝をマークしたサンチェス。ソフトバンクは同じく来日1年目で6勝を挙げた左腕・ムーアがポストシーズン初先発で対峙した。
絶好の先制機が訪れたのは巨人だった。初回に吉川尚輝の遊ゴロを牧原大成が一塁に悪送球。吉川尚が二塁へ進み、相手の失策から無死二塁の好機をつかんだ。しかし、二番の松原聖弥が犠打を試みたが走者を三塁に進められず。ピンチでギアが入ったムーアが150キロを超える直球を右打者の懐に投げ込む。三番・坂本勇人を内角攻めで追い込むと138キロのチェンジアップでタイミングを崩して空振り三振。岡本和真も球威十分の154キロ直球で遊ゴロに仕留めて無失点に切り抜けた。
サンチェスは直球、カットボール、スプリット、カーブと制球良く、日本シリーズ2試合で計18得点と好調のソフトバンク打線に連打を許さない。初回は三番・柳田悠岐にライトフェンス直撃の安打を浴びたが、四番のグラシアルを143キロのカットボールで空振り三振。2回裏もこのシリーズ2戦目まで打率.875と絶好調の栗原陵矢を左飛に仕留めるなど三者凡退に抑える。
両投手の好投でテンポ良く試合が進む中、待望の先制点はソフトバンクに入る。3回裏、二死からこのシリーズ無安打だった周東佑京が二塁への内野安打で出塁し、吉川尚の悪送球の間に二塁に進むと二番・中村晃が真ん中に入ったスプリットを振り抜きライトスタンドに先制2ラン。「追い込まれていたので何とか低めのボール球を振らないように、我慢しながら最後の最後で甘い球が来た。いい手応えだった」とベンチで笑みを浮かべた。
初回の絶好機を逃した巨人は得点どころか安打が出ない。6回表も先頭打者の大城卓三がムーアの失策で出塁したが、吉川尚、松原が中飛に倒れ、坂本もナックルカーブに空振り三振。本塁が遠い。
サンチェスは味方の援護を信じて追加点を許さない。6回裏一死満塁のピンチでデスパイネをカーブで見逃し三振、代打の長谷川勇也はセカンドへの強烈な打球となったが吉川尚が横っ飛びで好捕して二ゴロ。長谷川はヘッドスライディングが及ばずアウトになり、右手を地面に叩きつけて悔しがった。
だが、ソフトバンクの勢いが巨人をのみ込む。7回裏に先頭打者・松田宣浩の左前打を足掛かりに一死一、二塁の好機を作ると、中村晃が2番手・高梨雄平からスライダーをライト前にはじき返す適時打。グラシアルも3番手・大竹寛のスライダーをライト前に適時打で2点を追加した。
ムーアは「僅差の試合だったので一人ひとり集中して投げた」と7回までノーヒットノーランの快投で、8回からモイネロにスイッチ。巨人は中島宏之が死球で出塁すると代打攻勢を仕掛ける。代打・岸田行倫が四球で一死一、二塁と好機を広げるが、モイネロの力が上回る。代打・田中俊太をカーブで見逃し三振、さらに代打・重信慎之介をスライダーで空振り三振と流れを渡さない。
9回は守護神・森唯斗が満を持して登板。坂本を二邪飛、岡本を三ゴロに仕留めて“ノーヒットノーラン”まであと一死としたが、丸佳浩にナックルカーブをセンター前にはじき返された。大記録達成はならなかったが、ウィーラーを146キロのカットボールで二飛に仕留めて4対0と完封勝利を飾った。
ソフトバンクは3連勝を果たし、日本シリーズ記録を更新する11連勝。日本一に王手をかけた工藤公康監督は「今シーズンは日々新たにという気持ちで戦ってきた。3連勝できたのはすごくうれしい。明日も4連勝して皆さんと喜べるように戦いたい」と誓った。明日の第4戦でソフトバンクが一気に4連覇達成なるか。崖っぷちに追い込まれた巨人は意地を見せたい。
2020年11月24日(火)
福岡PayPayドーム ◇開始 18:33 (2時間58分) ◇入場者 17,297人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
読売 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | X | 4 | 8 | 2 |