決戦の舞台を福岡に移して迎えた10月29日のSMBC日本シリーズ2024第3戦。3万6736人の大観衆が埋め尽くしたみずほPayPayドーム福岡で初回、先頭で打席に入ったDeNA・桑原将志がいきなり快打を飛ばす。スチュワート・ジュニアの外角直球をとらえた当たりは右翼線への二塁打。梶原昂希の犠打で三塁へ進むと、牧秀悟の遊ゴロの間に先制のホームを踏んだ。連敗を喫していたDeNA。前日の選手ミーティングで桑原は「負けて悔しくないのか!」とナインに檄を飛ばしたがプレーで闘志を示した。
DeNAの先発はクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで左太もも肉離れを負ったエース・東克樹。CSファイナルステージでは登板できなかったが、驚異の回復力を見せ頂上決戦でマウンドに帰ってきた。「流れを変える投球をしたい」と意気込んだが、初回二死一、三塁とピンチをつくり五番・近藤健介に同点適時二塁打を浴びてしまう。「自分のバッティングをしようと打席に入った。追い込まれてからいい集中力を出せた」。今シリーズでは右足首のケガの影響もあり、DH制がない第1戦、第2戦はベンチスタート。本拠地でスタメン復帰したパ・リーグ首位打者に試合を振り出されてしまう。
流れを再び引き寄せたいDeNAは3回、またとないチャンスを迎える。連続四球で無死一、二塁。しかし、梶原が2回バント失敗の末、空振り三振に倒れると、牧も空振り三振、オースティンは見逃し三振でチャンスがついえてしまう。4回も一死二、三塁とスチュワート・ジュニアを攻め立てるが、戸柱恭孝は捕邪飛、森敬斗は空振り三振とあと一本が出ない。DeNAにとって重苦しい展開。それを打破したのは桑原だった。5回、スチュワート・ジュニアに代わって大津亮介がマウンドに上がったが、その代わり端だ。2球目のカットボールをたたいた当たりは左中間のホームランテラスに飛び込む勝ち越し弾。「先頭だったのでとにかく塁に出ることを意識していました。とらえた感触は良かったですが、正直スタンドまで届くとは思いませんでした」。勢いづいた打線はさらに無死満塁とし、筒香嘉智の右犠飛で1点を追加した。
東は2回以降、走者を出しながらホームを許さない粘投。4回は一死から今宮健太に二塁打を打たれるも、正木智也を右飛、甲斐拓也を二飛に。6回は一死一塁の場面では東が球審に向かって指先をスタンドに向けた後、口笛のポーズでアピール。試合が中断し、「投手が投げる間際の口笛などはご遠慮いただきますようお願いいたします」と場内に注意喚起されるハプニングが起こった。その後、東は一死一、二塁とされたが後続を打ち取った。
東の力投に応え、8回に戸柱の適時二塁打でDeNAが1点追加すると8回は伊勢大夢がマウンドへ上がる。伊勢がゼロに抑えてつなぐと9回は森原康平の出番だ。今季29セーブを挙げた守護神が3点差を守り切りDeNAが4対1で勝利。ソフトバンクのシリーズ連勝記録を14で止めた。三浦大輔監督は「なんと言っても東が流れを渡さない投球をしてくれた」と7回10安打を浴びながら1失点に抑えたエースの投球を絶賛。東は「病み上がりなのでまさか7回まで投げるとは思ってなかったですけど、チームに貢献できて良かったです」と笑顔を見せた。シリーズはソフトバンクの2勝1敗となったが、頂上決戦はこれからさらに盛り上がっていく。
2024年10月29日(火)
みずほPayPayドーム福岡 ◇開始 18:34 (3時間37分) ◇入場者 36,736人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
横浜DeNA | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 6 | 0 |
福岡ソフトバンク | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 10 | 0 |