DeNAが日本一に王手をかけて迎えたSMBC日本シリーズ第6戦。注目の頂上決戦は雨天順延のため第5戦から中2日で11月3日、横浜スタジアムで行われた。
DeNA投手陣の前に2試合連続完封リレーに封じられ、シリーズワーストタイの26イニング連続無得点と打線が沈黙しているソフトバンク。早く得点を奪って流れを変えたいところだったが、初回二死三塁で四番・山川穂高が3球三振に倒れ先制のチャンスを生かせない。DeNAはその裏、先頭の桑原将志が三遊間への深いゴロで一塁へ気迫のヘッドスライディング。梶原昂希の投ゴロは有原航平の送球エラーを呼び、無死一、二塁に。しかし、このピンチに有原は牧秀悟を空振り三振、オースティンを三ゴロ併殺打で切り抜ける。
両軍、チャンスを生かせなかった初回。試合の流れをつかむのはどちらになるのか。それは最高の形でDeNAにやってきた。2回先頭で打席に入った筒香嘉智が低めのチェンジアップをとらえた当たりはセンターバックスクリーン横に突き刺さる先制ソロ弾。横浜スタジアムはDeNAファンの大歓声に包まれた。勢いに乗ったDeNAはさらに二死二、三塁と有原を攻め立てると桑原が鋭く三遊間を破る2点適時打。桑原は「もう1点、もう1点と強い気持ちを持ち、そして後ろにつなげようと打席に入りました。まだまだ気を抜かずに頑張ります!」と気合を込めた。DeNAは3回にもコントロールを乱した有原から3連続四死球の押し出しで1点を追加、4対0と序盤から大きくリードする。
このままでは終われない。ソフトバンクが反撃したのは4回だ。無死一塁で柳田悠岐が外角高めの141キロ直球を完璧にはじき返した当たりは打った瞬間、それと分かる打球に。バックスクリーンに飛び込む2ランとなった。「いいスイングができました。まず2点を返すことができて良かったです。何とか逆転できるように頑張るだけです」。ソフトバンクは連続無得点イニングを29で止め、4対2と追い上げた。
だが5回、気迫の投球でDeNA二番手・濵口遥大がソフトバンクを三者凡退に仕留め、ファンをあおるように両腕を何度も上げ下げしてベンチに引き揚げるとDeNA打線に火が付いた。三番手のスチュワート・ジュニアから桑原が押し出し四球を選ぶと続く梶原が中前に落ちる適時打。二死満塁となって四番手・岩井俊介からはオースティンが押し出し死球、筒香が走者一掃の適時二塁打を放つ。DeNAの猛攻は、まだ止まらない。さらに二死二塁からは宮﨑敏郎が適時二塁打。この回、大量7得点で11対2と一気にソフトバンクを突き放し、日本一がグッと近づいた。
そして迎えた9回、マウンドを託されたのは守護神・森原康平だ。森原は周東佑京、今宮健太を二ゴロに打ち取ると、最後は柳田を空振り三振。DeNAがシーズン貯金2、勝率.507のセ・リーグ3位から“下克上”を果たして、26年ぶり3度目の日本一に輝いた。胴上げで横浜の夜空を5度舞った三浦大輔監督の目には光るものがあったが、「いろんな思いが……。98年に優勝してから、なかなか勝てずに。自分ももう一度っていう気持ちで、現役のときは優勝できずに。監督として本当に優勝できて、うれしいです」と万感の思いを吐露した。MVPにはシリーズ新記録の5試合連続打点を挙げた桑原が選出。打率.444、9打点と猛打を発揮したが、「一戦一戦、チームを引っ張っていくという気持ちがあったので、うれしいです」と感激の表情。優秀選手賞にはDeNAから筒香、ジャクソン、ケイ、敢闘賞はソフトバンクから今宮が選ばれ、熱戦の幕は閉じた。
2024年11月3日(日)
横浜スタジアム ◇開始 18:03 (3時間11分) ◇入場者 33,136人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
福岡ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 | 1 |
横浜DeNA | 0 | 3 | 1 | 0 | 7 | 0 | 0 | 0 | X | 11 | 13 | 0 |