オリックスとヤクルトが激突したSMBC日本シリーズ2021は、11月23日に第3戦を迎えた。第1戦は2点差を追いかけるオリックスが9回に劇的なサヨナラ逆転勝利。第2戦はヤクルトが先発・高橋奎二のシリーズ初登板完封勝利の快投で白星をつかんだ。
1勝1敗のタイで、東京ドームに場所を移して開催された第3戦は手に汗握るシーソーゲームとなった。ヤクルトの先発は小川泰弘。クライマックスシリーズ・ファイナルステージで登板機会がなかったため、10月29日の広島戦(マツダスタジアム)以来の登板となったが、初回、2回を三者凡退と最高の立ち上がりを見せる。オリックスの先発は田嶋大樹。制球が定まらず、2回には二死満塁で小川に3ボールとするがフルカウントに整えて最後は142キロ直球で見逃し三振とピンチを脱した。
先制点はオリックス。3回一死満塁から宗佑磨がチェンジアップを右前に運ぶ適時打。「(福田)周平さんがフォアボールでつないでくれていたチャンスだったので、必死に食らいついていこうと思っていました。タジ(田嶋)も頑張って投げていましたし、しっかりとバントも決めていたので、なんとか先制点になってくれてよかったです!」と両手を塁上で突き上げた。しかし、ヤクルトはその後の一死満塁のピンチで小川が吉田正尚をフォークで空振り三振、杉本裕太郎をチェンジアップで一邪飛に仕留めて最少失点で切り抜ける。
田嶋は球威十分の直球で4回まで無失点に抑えていたが、ヤクルトが5回に反撃のノロシを上げる。一死から青木宣親が中前打で出塁すると、オリックスは田嶋から比嘉幹貴にスイッチ。山田哲人を遊ゴロに仕留めると、バルガスに継投したがこれが裏目に。村上宗隆、サンタナが連続四球で二死満塁と好機を作ると、中村悠平が低めの直球を中堅にはじき返す逆転の2点適時打。三塁・宗の悪送球で一走・サンタナも本塁に生還し、一挙3点を奪った。中村は「1打席目にバントを失敗して、そこで僕が流れを切ってしまったので、この打席は何としてでもという気持ちで打席に入りました。いい場面で取り返すことができて良かったです」と殊勲の一打に声を弾ませた。
逆転を許したオリックスはすぐに反撃する。6回に先頭の吉田正が左中間突破の二塁打を放つと、今季本塁打王に輝いた杉本が「打ったのは真っすぐ。少し詰まっていましたし、まさか入るとは思っていなかったのでなんとかスタンドまで届いてくれて良かったです!」と右中間席に運ぶ同点2ラン。ベンチ前で右拳を突き上げた。小川は6回5安打3失点で降板。「すごく緊張した。先制されても最少失点で何とかしのいで粘って投げていたけど、最後の本塁打はすごく悔しい」と振り返った。
息を吹き返したオリックスは、7回は救援したスアレスから2つの四球で一死一、二塁と圧力をかけると、代わった3番手・田口麗斗の前に宗は見逃し三振に倒れたが、続く吉田正が外角低めに沈むスライダーを左翼線にはじき返す勝ち越し適時打。第1戦でサヨナラ打を放ったヒーローの一打で主導権を奪い返した。
再び追いかける展開になったヤクルトだが、値千金の一発が飛び出す。7回二死一塁からこのシリーズでここまで安打が出ていなかった五番・サンタナが吉田凌のスライダーを右中間席に運ぶ逆転2ラン。「逆転されてしまったが、ベンチが一体となってすぐに逆転するぞという雰囲気だった。自分自身も1本出ていなかったので最高の場面で打つことができた」と会心の一打に助っ人は満面の笑みを浮かべた。
9回は1戦目に救援失敗した守護神・マクガフが二死一、三塁のピンチを作ったが、杉本を内角の直球で一ゴロに打ち取って逃げ切った。2勝1敗としたヤクルト・高津臣吾監督は「初戦からすごくロースコアの競った試合が続いたんですけど、今日も一進一退の試合でサンタナが良く打ってくれた。期待どおりの打撃をしてくれた」と称賛。さらに「1戦1戦、丁寧にしっかり戦っていきたい。僕たちの野球をするだけです」と誓った。第4戦は24日に東京ドームで行われる。
2021年11月23日(火)
東京ドーム ◇開始 18:05 (3時間45分) ◇入場者 24,565人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
オリックス | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 4 | 7 | 2 |
東京ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 0 | x | 5 | 5 | 1 |