ヤクルトとオリックスが激突したSMBC日本シリーズ2021は、11月24日に東京ドームで第4戦を迎えた。ヤクルトが初戦を落とした後に2連勝を飾り、この勢いに乗って王手をかけたい。一方、オリックスは2勝2敗のタイに持ち込めば、山本由伸と宮城大弥の「ダブルエース」が控えているだけに、日本一が見えてくる。過去3試合が1点を争う緊張感あふれる試合展開の中、この第4戦も緊迫した投手戦となった。
ヤクルトの先発はチーム最年長の41歳左腕・石川雅規。直球は120キロ台後半と決して速くないが、シンカー、スライダー、カーブ、シュート、チェンジアップと多彩な変化球で打者を惑わせる芸術的な投球を見せる。初回、宗佑磨に左前打を浴び出塁を許したが、吉田正尚を内角に沈むチェンジアップで空振り三振、四番・杉本裕太郎も外角のシンカーで中飛に仕留める。2回も無死一塁で安達了一を遊ゴロ併殺打に打ち取ると、紅林弘太郎もシンカーで3球三振。直球も走っていた。3回は若月健矢から内角いっぱいの直球で見逃し三振を奪うなど、5回まで4イニング連続3人で打ち取り持ち味を発揮した。
オリックスのマウンドは日本シリーズ初先発の山﨑颯一郎。身長190センチの長身から角度のある直球、カーブ、フォーク、スライダーのコンビネーションで初回は無失点と上々の立ち上がりだったが、前夜の第3戦で決勝アーチを放ったサンタナが2回に外角高めの直球を右翼席中段に運ぶ2試合連続の先制アーチ。「昨日の勢いのまま試合に入ることができました。しっかりと自分のスイングができるところを待っていて、一発でしっかりと仕留めることができました。先制できて良かった」と振り返る一打でヤクルトベンチが活気づく。ただ、山﨑颯は2回をこの1失点で切り抜け、3回以降は追加点を許さない。5回4安打1失点で降板。十分に合格点をつけられる内容だろう。
石川は危なげない内容でイニングを重ねていたが、6回二死から福田周平に中前打で出塁を許すと、宗の右前打でヤクルトに手痛いミスが起きる。右翼・サンタナが打球処理でファンブルする間、エンドランでスタートを切っていた福田が一塁から一気に本塁生還。オリックスが同点に追いついた。
試合は振り出しに戻ったが、ヤクルトはすぐに主導権を奪い返す。直後の6回二死一、二塁からオスナが救援した比嘉幹貴のスライダーを中前にはじき返す勝ち越しの適時打。「追い込まれて、大振りせずコンパクトに長打よりもヒット狙いを意識して打つことができました。(二塁走者の)サンタナがよく走ってくれた」と一塁の塁上で雄叫びを挙げた。
再度追いかける展開になったオリックスは反撃を試みるが、ヤクルトの「勝利の方程式」が立ちはだかる。8回はセットアッパー・清水昇、9回は守護神・マクガフが無失点で締めてヤクルトが2対1で逃げ切った。
石川は6回3安打1失点の快投で日本シリーズ初勝利。40代の日本シリーズ白星は1950年の毎日・若林忠志(42歳8カ月)以来、実に71年ぶり2人目の快挙となった。お立ち台に上がった石川は「メチャクチャうれしいです。何とか監督の気持ちに応えたいと思って『絶対大丈夫だ』という思いでマウンドに上がった。先頭打者からいつつぶれてもいいと思って、信頼あるブルペンにつなげようと思った。打線も打ってくれて、いい守備をしてくれて、楽しみながらマウンドに上がれた」と穏やかな笑みを浮かべた。
3連勝で20年ぶりの日本一に王手をかけた高津臣吾監督は「毎日接戦でちょっと疲れるけど、競った試合で何とか1点を与えず、1点を奪える試合ができているかなと思う。(サンタナとオスナは)2人で励まし合いながら仲良く取り組んでいる。その姿に参考になる部分がたくさんある。いい結果が出て、努力が報われると非常にうれしく思う」と両外国人の働きぶりを称賛。さらに「全力で戦うのみ。全力で勝ちたいです。いつもどおり、これまでどおり我々らしく勝ちに向かって頑張りたい」と誓った。第5戦は25日に東京ドームで行われる。
2021年11月24日(水)
東京ドーム ◇開始 18:05 (2時間50分) ◇入場者 20,617人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
オリックス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 |
東京ヤクルト | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | x | 2 | 6 | 1 |