59年ぶりの関西ダービーの熱気はさめやらない。10月31日に迎えたSMBC日本シリーズ2023の第3戦。ともに8対0のスコアで勝ち、1勝1敗のタイとなった頂上決戦に4万994人の大観衆が詰めかけ、阪神甲子園球場は異様な雰囲気に包まれた。
先制したのは阪神だった。2回、一死一、三塁から坂本誠志郎がしぶとく右へ運ぶ。一、二塁間を抜けたと思われた当たりだったが、二塁手・ゴンザレスが横っ飛びで捕球。二塁へ送球し併殺を狙ったが、坂本が全力疾走で一塁を駆け抜けセーフ。阪神がゲッツー崩れで、しぶとく1点をもぎ取った。
阪神は3回、先頭打者の近本光司が右前打で出塁。絶好の得点パターンとなったが、オリックスバッテリーが踏ん張る。中野拓夢を左邪飛に打ち取ると、森下翔太の打席で二盗を試みた近本を捕手の若月健矢がストライク送球で刺す。森下は三ゴロに仕留め、この回ゼロで切り抜けると直後の4回だ。二死走者なしで頓宮裕真が伊藤将司の外角低め143キロ直球をバックスクリーン左に同点本塁打を放った。「感触自体も悪くなかったですし、スタンドまで届いてくれてよかったです」。両軍通じてシリーズ初本塁打でオリックスは同点に追いつく。
さらに5回、オリックス打線が阪神先発の伊藤将に襲い掛かる。先頭の紅林弘太郎が右前打で出塁すると、続く若月は2ボールから鮮やかなエンドラン。無死一、三塁とすると廣岡大志の遊ゴロの間に三走・紅林がホームにかえり1点勝ち越し。その後、二死一、二塁から今シリーズで11打席ノーヒットだった宗佑磨が右中間を破る2点適時二塁打。「打てる気配が全然なかったんですけど、最後は気合で粘っていたので行けるかなと思いました」と宗。この回、3点を加えて勝ち越すと6回には若月の犠飛で1点追加。オリックスが5対1とリードを広げた。
「初回の入りもよかったですし、思っていたよりも緊張することなく、マウンドに上がることができました」という先発の東晃平が5回5安打1失点と役割を十分に果たすと、オリックスは継投策に。だが、6回の小木田敦也は得点を許さなかったが、7回の山岡泰輔が誤算だった。坂本、木浪聖也に連打を許し、一死後、近本に四球。一死満塁となり中野の一ゴロで三走・坂本にホームを踏まれると、さらに二死二、三塁で森下に一、二塁間を破る2点適時打を浴び1点差に追い上げられた。
さらなる阪神反撃の期待に包まれた甲子園はヒートアップ。8回一死、回またぎの宇田川優希からノイジーが中前打で出塁すると代走に島田海吏が送られる。島田は坂本の2球目に盗塁を仕掛けるもバランスを崩して一塁にとどまると、阪神ベンチは犠打に切り替え。坂本がきっちり送り二死二塁にしたが、木浪が三振に倒れ同点機を逸してしまう。9回はシリーズ初登板の平野佳寿から先頭の代打・原口文仁が四球。近本の二ゴロの間に代走・植田海は二塁へ。中野は空振り三振に倒れたが森下は四球。二死一、二塁で打席には四番・大山悠輔が入った。勝負の行方は――。フルカウントからの6球目、内角低めのフォークに大山のバットは空を切ってゲームセット。オリックスが5対4で阪神を下した。
連勝で2勝1敗とした中嶋聡監督は「本当の意味でしびれる試合でした。死力を尽くしてと言いますか、全員の力が非常によく出た試合だったと思います」と安どの表情を浮かべると、「想像以上のアウェー感がありましたけど、オリックスファンの応援もしっかり聞こえていました」と敵地でのファンの後押しに感謝した。
2023年10月31日(火)
阪神甲子園球場 ◇開始 18:03 (3時間51分) ◇入場者 40,994人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
オリックス | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 5 | 9 | 0 |
阪神 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 4 | 10 | 1 |