オリックスが一気に王手をかけるか、それとも阪神がタイに戻すか――。11月1日に第4戦を迎えたSMBC日本シリーズ2023。前日に続いて4万人を超える大観衆が集まった阪神甲子園球場で熱戦が繰り広げられた。
オリックスは山﨑福也、阪神は才木浩人が先発。初回、阪神は山﨑福の立ち上がりを攻める。先頭の近本光司が左前打で出塁すると犠打で二塁へ。確実に走者を得点圏に進めると森下翔太が外角低めのフォークをジャストミート。「先頭のチカ(近本)さんからいい流れでつないでくれたチャンスでしたし、ランナーをかえすことだけを考えて打席に立ちました。しっかり自分のスイングの中で、芯でとらえることができました」。前日マルチ安打と調子が上向きのドライチ新人が放った左翼フェンス直撃の適時二塁打で阪神が1点を先制する。
取られたら取り返す。直後の2回、オリックスは先頭の頓宮裕真が強振した打球は中堅フェンスを直撃。中堅の近本がクッションボールを誤り、頓宮はスピードを緩めずに一気に三塁へ。一死後、紅林弘太郎が内角高め151キロ直球に食らいつき、詰まりながらも右前に落とす適時打を放ち、すかさず同点に追いつく。だが、阪神は攻撃の手を緩めない。その裏、二死から木浪聖也が気迫のヘッドスライディングで二塁内野安打。才木が四球を選び一、二塁とチャンスをつくるとシーズン得点圏打率.374と勝負強い近本が左前に勝ち越しの適時打。序盤から一進一退の攻防が続いていく。
3、4回は両軍ゼロ。次に試合が動いたのは5回裏だった。阪神は先頭の近本が中前打で出塁すると中野拓夢は犠打。打球を処理した山﨑福だったが一塁へ悪送球を犯すとオリックスベンチは山﨑福をあきらめ、マウンドに比嘉幹貴を送る。森下は遊ゴロで一死一、三塁となると大山悠輔も遊ゴロに倒れたが一塁へ全力疾走し、併殺崩れで阪神が1点を追加した。
終盤に入り7回、オリックスが反撃。先頭の廣岡大志が三失、代打・セデーニョが左前打で出塁すると犠打で送って一死二、三塁と2イニング目に入った桐敷拓馬を攻め立てると宗佑磨が真ん中に入った直球を見逃さずにとらえた打球は中前へ。一気に二者が生還し、オリックスが3対3の同点に追いついた。阪神はその裏、四番手・小木田敦也を攻め先頭の糸原健斗が遊撃内野安打で出塁すると続く近本は平凡な中飛に打ち取られたが中堅手・中川圭太がまさかの落球で無死一、二塁。しかし、中野は犠打失敗、森下は一飛、大山は空振り三振で絶好機を生かせない。
オリックスは8回、先頭の紅林が中前打で出塁したが野口智哉がスリーバント失敗。アウトカウントを増やし、走者を送れず。嫌な流れになりそうだったが廣岡の打席でフルカウントからランエンドヒットを敢行。これが見事に成功して一死一、三塁とチャンスを拡大すると代打にT-岡田を送る。阪神ベンチが左打者のT-岡田に対し左腕・島本浩也をマウンドに上げると、代打の代打・安達了一が打席へ。初球、一走・廣岡が盗塁し二、三塁。息詰まる攻防の中、安達は三ゴロで三走・紅林は本塁封殺に。二死一、三塁となると阪神ベンチは4カ月半ぶりの一軍マウンドとなった湯浅京己を送る。互いのベンチワークが交錯する中、湯浅は初球、149キロ直球で中川圭を二飛に打ち取り、阪神は大ピンチを切り抜けた。
勝利の女神はどちらに微笑むのか。決着がついたのは9回裏だった。阪神は一死から近本が四球を選ぶ。するとマウンドのワゲスパックは中野の3球目、6球目にワイルドピッチ。一走・近本が三塁まで進むと、オリックスベンチは中野、森下を連続申告敬遠で満塁策を取る。打席は四番・大山。阪神ファンの大声援が鳴り響く中、フルカウントからの7球目、内角高め148キロ直球を打ち返した当たりは三遊間を破る。劇的なサヨナラ安打で阪神が4対3で勝利を飾った。
殊勲の大山は「1試合、1試合勝つだけなので。追いつかれましたけれど、全員で勝ち取った勝利だと思います。(日本シリーズは)独特の雰囲気というか、僕たちも初めてで難しい部分はありますが、このすごい歓声のおかげで力を発揮できています」と笑顔を見せた。
2023年11月1日(水)
阪神甲子園球場 ◇開始 18:01 (4時間6分) ◇入場者 41,050人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
オリックス | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 3 | 12 | 3 |
阪神 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1x | 4 | 8 | 1 |